お花見日より

それはある暖かな日差しの午後。
自販機が宙を舞ってるなーまたかーなんて傍観を決め込んでいたら、突然目の前が真っ暗になった。
「…?!」
「シズちゃん、辞めてよねー帝人君に当たっちゃうじゃない」
「帝人、来てたのか」
「あ、はい」
「あれ、無視?」
臨也さんをまるっと無視して、声を掛けてくれたバーテンダーな服装の静雄さんに頷く。
守るように立ちはだかってくれたようだけど、どうせ臨也さんの方からしかけたんだろう。
プラマイ0だと正直思う。
「静雄さん、今暇ですか?」
「あー20分ぐらいならあいてるな」
「じゃぁお花見行きませんか?」
「ちょっと帝人君!俺は?!」
「どうせ勝手についてくるでしょ」
「酷いー!可愛くおねだりしてくれたっていいじゃない!」
「いーざーやーてめぇはとっとと失せろ」
「煩いなー帝人君を独り占めできるなんて思わないでよね」
何時の間にやら再び臨戦状態で、それぞれ今すぐにでもさっきの続きができそうだ。
「・・・」
そして再び喧嘩を始めた二人を見つめ、溜息ついた。
よし、セルティさんと行こう。
携帯を取り出すと、さっさと二人に背を向けて歩き出した。

まぁどうせ、あとから二人が追いついて来るだろうけれど!!

(酷い!なんで行っちゃうの帝人君!)
(帝人、悪かった)
(しょうがないですねーちなみに三人じゃなくて「皆」になりましたけど文句はないですよね?)
(・・・)
(・・・)